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村に伝わる民話:長光寺のお薬師

公開日 2013年3月21日

更新日 2024年2月7日

長光寺のお薬師

 加賀百万石の殿様の家中が江戸へのぼる道すがら、中村の殿様の館におとまりになった。みめうるわしい奥方は、長旅の疲れにお目をわずらっておられた。

 その夜のことである。厠にお立ちになった奥方は、東の山すその辺りにかすかな明かりにお目をとめられて、立ち尽くしている。やがてその明かりがまろやかな、そして浄い後光が射しているのであるとたしかめられた。

 奥方のお心に「ハッ」と射しこむものを覚えた。奥方は思わず両手を合わせて拝むのであった。

 「あらたかなみ仏がおわしますのではないか」と村人に探させると、土中から薬師如来の木像が掘り出された。ねんごろに供養された奥方の病は癒えて、江戸への長旅に家中ともどもお立ちになられた。

 この木像は、僧行基菩薩の作であると伝えられ、長光寺裏山の出現地には曹洞宗総持寺菅首法雲晋蓋禅師の揮毫の石碑が建てられている。

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TEL:0269-82-3111