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村に伝わる民話:平塚の狐

公開日 2013年3月21日

更新日 2024年2月7日

平塚の狐

 南鴨の法院さんが飯山へ買い物に出かけた。平塚の腰の道にさしかかると、細道のまん中に大狐がひる寝をしている。道行く人々をたぶらかしたり、まどわしたりする。平塚の大狐なのだ。

 「よしっ。一つおどかしてやろう。いつも悪さをする大狐めっ」と。いつも持ち歩くホラ貝、思いっきり大狐の耳に当ててふきならしたからたまらない。大狐は一目さんに市之割の方へ逃げる、ちょっとふりかえって見たまま姿を消してしまった。

 飯山で買い物の帰り、樽川の一本橋を渡ろうと、平塚を見上げた法院さん、たちまちまっくらになる平塚、
「どうもおかしいぞ、あやしいぞ」と橋を渡って山の腰に思案顔でしゃがんでいる。

 「ワイワイ、ワイワイ」と葬式の行列が石室の方から近寄ってくる。法院さんはお葬いのとりおきをもしていたものであるから「そうか、わしにとりおきをしてくれというのだな」法院さんのまん前で棺がとまった。

 「どうしたんだ」と呼びかけるやいなや、棺ぶたがあく。

 「法院、昼間のことを忘れたかっ」と大古狐。

 「二度とあんなことをしない、かんべんしてくれ」と法院があやまる。ぬっくと立ち上がった大狐「二度とすんなよ」と行列の姿とともに消え去った。と同時に暗雲はれてもとの平塚山がながめられた。

(山本忠次氏の話による)

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