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村長ひとこと(令和5年)

公開日 2023年8月9日

更新日 2024年4月19日

木島平村長 日䑓 正博(ひだい まさひろ)

村長画像

スキー場の民営化

さて今年は、昨年末からの降雪により多くのお客さんを迎えてスキー場は順調なスタートを切ることができました。そんな中ではありますが、村ではスキー場を中心とした観光施設の民間化を進めています。観光地は常に新たな魅力を創造し、発信し続けなければなりません。現状維持では後退してしまいます。新型コロナの感染拡大は全国の観光地に大きな打撃を与えました。本村も同様で、現状では老朽化した施設の維持管理が精いっぱいであり、新たな魅力を作り出す余力がありません。そのため、民間の資金力、アイディア、行動力そして情報発信力により木島平の観光業が更に発展することを期待しています。村民の皆様のご理解ご協力をお願いします。

ロシア侵攻と物価高

 新型コロナの感染拡大による物流の混乱から始まった物価の高騰は、ロシアのウクライナ侵攻、急激な円安により更に厳しさを増しました。食料品や燃料費、諸資材費の高騰は日常生活だけでなく農商工様々な分野に影響を与えています。村では、商品券の発行や物価・燃料費高騰対策の補助金、給食材料費の補助など様々な支援を行ってきましたが、厳しい状況は続いており、今年も引き続き支援策が必要と考えています。

デジタル化の推進

 最近、仕事や日々の生活など様々な分野でデジタル化やAI化が急速に進んでいます。国ではデジタル庁が発足し、小中学校のオンライン授業、コンビニでの住民票等交付、確定申告をはじめ各種オンライン申請などを推進しています。日常生活でもキャッシュレス決済やスマホの普及によりQRコードによる申請や手続きが多くなりました。また、マイナンバーカードもその一環で、今後、保険証や免許証だけでなく村や国からの給付金受け取りなどを効率的に行うためにも必要になります。村内でも取得者が増えています。取得されていない皆様には役場窓口でお手伝いをしますので早めに取得をお願いします。

地球温暖化とSDGs

 大規模な自然災害を抑制し、人類の生存環境を維持するため地球温暖化対策は世界的な課題になっています。村では昨年から公共施設のLED化、個人住宅の省電力化や断熱化などの改修への補助を始めました。今年は馬曲川発電所の能力アップ工事や公共施設での再生可能エネルギーの活用研究を進めます。また、最近はSDGsへの関心も高まっています。これは、今世界中で起きている環境問題や紛争、貧困、人種問題などをなくし、持続可能な農業や海洋資源の保全、持続可能なエネルギー、誰もが生涯にわたって学び続けることができるなど17の発展目標を実現することで、私たちだけでなく、子供や孫、更にその孫までもずっとこの地球上で安心して暮らし続けることができる環境を維持するものです。温暖化対策やSDGsは地球規模の取組みであり、個人が取り組んでも仕方ないという方もいますが、世界レベル、国レベル、県レベル、村レベル、そして個々の家庭や個人でできる取り組みが様々あります。節電やごみの分別収集、家庭菜園など大掛かりな取り組みではなくても、家庭や個人での小さな取り組みが積み重なって大きな効果を生み出します。村からも情報を発信していきますので、村民の皆様にもぜひ一緒に考えて頂きたいと思います。

少子化対策への取組み

 少子化対策は大きな課題として以前から取り組んできましたが、新型コロナの感染拡大はその流れを助長し、全国的な課題になっています。村としても今後一層力を入れなければならない分野ですが、ただ単に祝い金や補助金だけで実現できるものではありません。小さな村にとって経済的な支援だけに頼ることには限界があります。少子化対策は、若い皆さんが定住できる環境、安心して子供を産み・育てることができる環境、子供たちの夢を実現できる力を身に付ける教育環境など裾野が広い取組みであり、村民の皆様の力が必要な分野でもあると考えていますので、ご協力をお願いします。最後に、今年が災害等なく平穏であることと村民の皆様がご健勝で木島平村の更なる飛躍の年となることを願って年頭の挨拶と致します。

(広報 令和5年1月号抜粋)

「登山」令和5年12月

 家から真正面に妙高山が見えます。標高2454メートル、元々もっと高い山でしたが大噴火で山体崩壊し、残った外輪山の中央に新たな噴火でできたのが妙高山ということです。村から見える側の外輪山だけ欠けているので中央に聳える妙高は見事な美しさです。
 中学2年の学校登山は妙高山でした。麓の旅館に泊まり、夜明け前に懐中電灯を持って出発し、細い山道に入ったころには明るくなっていました。最後に鎖場を上ると山頂です。着いた時は雲一つない快晴。360度見渡せましたが、記憶にあるのは山頂から見た木島平の光景です。「あの辺が俺の家だ。」とか、興奮したことを覚えています。
 しかし、間もなく下から雲がものすごい勢いで湧いてきて、あっという間に辺り一面雲に包まれ何も見えなくなってしまいました。鎖場は一人ずつ上るので時間がかかります。私たちは1組で一番早く上ったので、わずかな時間でもすごい景色を見ることができました。全員が登りきると最初に下り始めました。後から登った人がどんな景色を見たのかは分かりません。案外早く雲が晴れたかもしれません。
 この秋にはイベントで高社山に登りました。旧科野小学校から谷厳寺を経て山頂まで5【機種依存文字】、体力のなさを痛感しました。しかし山頂に立つと達成感と景観で疲れを忘れます。体力づくりと気分転換を兼ねてもっと山登りをしてもいいのかな、そんな気持ちになります。
 しかし今年、夏山登山の遭難件数、遭難者数は過去最高とのこと。体力と安全を考えるとハイキングぐらいか。もちろん、熊にも気を付けながら。

「情報源」令和5年11月

 総務省の調査では、情報源として信頼性が高いと答えているのは新聞、次がテレビで、ソーシャルメディア(SNS含む)はかなり低いようです。しかし、情報源はとなるとテレビ、ソーシャルメディアが圧倒的です。新聞は読む人が減っています。新聞協会の調査では、令和4年には20年前に比べて発行部数は4割以上減っています。一方、ソーシャルメディアはテレビを抜きそうで、信頼できると答えている人も一定数いるので数的には新聞よりソーシャルメディアを信頼する人が多いかもしれません。
 テレビは重要な情報源です。最近は連日ハマスのイスラエル突入とイスラエルのガザに侵攻を取り上げています。多くの犠牲者を出し、更に大きな国際問題につながりかねない大事な情報です。しかし、これまで報道していたロシアのウクライナ侵攻はどうなったのでしょう。相変わらず戦争は続いていますが、ほとんど見なくなりました。報道番組などでは私たちが知りたいことを伝えているのか、意図的に関心が誘導されているのか分からなくなる時があります。
 ソーシャルメディアは求めている情報を得ることができますが、信頼できるとは限りません。その点、新聞は様々な情報を同時に見ることができます。見出しを見て関心があるところだけ読むことができるし、全く思いもよらない話題を見つけることもできます。
 活字離れが言われて久しくなります。書くことが減り、動画や音声で情報を得るため読むことも減りました。インターネット上で偽情報が増えている今、信頼できる情報源として、もう少し新聞を活用してはと思います。

「人生百年時代」令和5年10月

 「人生50年 下天のうちを比ぶれば 夢幻の如くなり」織田信長が好んで謡った「敦盛」の一節です。長い間、当時の寿命が50年という意味かと思っていましたが、仏教でいう六道(地獄道、餓鬼道、畜生道、修羅道、人間道、天上道)の教えからきたものとのことです。天上道には様々な世界があり、天上界で最も下位で人間界に近いのが下天とされます。人の世の50年は、その下天でさえ一日にしか当たらない儚いものだという意味で、寿命ではないとのこと。ただ、実際に当時の寿命は50歳ぐらいだったようです。
 今、日本人の平均寿命は男性が約81歳、女性が約87歳です。コロナの影響か令和2年をピークに少し短くなりました。しかし、新聞のお悔やみ欄を見ると90歳、中には100歳を超えた人が多く、平均寿命より長く生きているように感じます。
 平均寿命は、正確には平均余命のことで0歳児がこれから平均何年生きるかというものです。事故や病気などで若くして亡くなる人も含めています。この平均余命は年齢ごとに出されています。例えば、75歳まで生きた人の平均余命は男性が約12年、女性が約16年です。つまり今75歳の人は平均して男性が87歳、女性が93歳まで生きるということです。80歳の人の寿命は更に延びます。厚労省では、別に生命表というものを公表しています。それによると2022年に生まれた人は男性の4人に1人、女性の2人に1人が90歳以上まで生きるとしています。
 人生百年時代は確実にやってきています。生き甲斐をもって、健康に暮らせる時を長くしましょう。

「地球沸騰化」令和5年9月

 最近「信州から考える世界史」という本をいただきました。根塚遺跡の鉄剣の記述があり、届けられたものと思います。 
 その中で長野県内には縄文時代の遺跡が3000余もあるということで調べてみました。縄文中期、日本の人口は約26万人ですが、人口密度が一番高かったのは長野県周辺のようです。クリやクルミが豊富で、縄文人にとって暮らしやすかったのでしょう。それが縄文末期には気候変動で地球全体が寒冷化して人口が急減し、人口は約8万人に減りました。山の実や狩猟だけで生きるのが大変だったのでしょう。
 しかし、寒冷化は他にも大きな変化をもたらしました。北極などが凍り、海面が後退して農耕に適した平坦な陸地が現れました。また、稲作技術を持った渡来系弥生人が適地を求めて南下して日本へたどり着きました。縄文人とどう関わったのか詳しく分かりませんが、数百年かけて稲作文化の広がりとともに今の日本人が形成されたようです。縄文末期、長野県周辺の人口も減少しますが、稲作が始まり食料を自給できるようになった弥生時代にはまた人口密度は増していきます。その頃から稲作には適していたのかもしれません。
 気候変動で人口が3分の1にまで減少するという大きな試練を乗り越え、命を受け継いできました。もちろん、この気候変動は人間によるものではありません。
 地球沸騰化の時代と言われ、世界的に観測史上もっとも暑い夏、農作物にも大きな影響を与えています。そんな中でも、命と健康、そして旨い米の産地を守っていかなければなりません。

「緑のダム」令和5年8月

 梅雨明け以降、異常な暑さが続いています。これは主に偏西風の蛇行によるものということです。偏西風は日本の上空を西から東に吹く風で、その南側は暖かく、北側は涼しくなります。今年は日本上空で北側に蛇行しているため、日本全体が偏西風の南に入っています。今年の7月の平均気温は観測史上最高になりました。
 過去126年間で平均気温が1.5度上昇したということで温暖化が進行しているのは確かです。台風の大型化や海面上昇、干ばつなど様々な影響が出ていると言われますが、農業にも大きな影響があり、果物や米の適地が北上しています。人が作る作物は産地を移動することができます。
 しかし、森林はどうでしょう。先月号でブナについて書きましたが、ブナも温暖化とともに北上または標高が高い場所に移動します。しかし、自然界での移動速度は100年で1~2【機種依存文字】程度と言われます。温暖化の進行はその10倍以上と言われ、冷温帯の代表的な樹木であるブナの適地が減少しています。このまま温暖化が進むと今世紀中に日本のブナ林はほぼ無くなるという研究発表もあります。
 日本は世界的にみると降雨量が多く、更に急峻な山も多くあります。その国土を保っているのは樹木の水源涵養機能です。保水し、徐々に水を放出することで洪水を調整し、地形が保たれています。特にブナは水を好み保水力が高いため「緑のダム」と言われます。ブナが減り、山が荒れると洪水などの災害が発生しやすくなります。温暖化は直接、間接問わず様々な問題を生み出します。


「ブナと熊」令和5年7月

 カヤの平でブナの植樹を行いました。牛の放牧頭数が減り利用しなくなった牧場を元のブナ林に戻す取り組みです。そこでブナの生態について話を聞きました。
 ブナは数年に一度たくさん実をつけますが、それは実を餌にしている動物、特に熊などから子孫を守るためということです。毎年実を着けると熊などが繁殖し過ぎて食べ尽くしてしまいます。数年に一度豊作にすることで熊などの個体数調整を行い、子孫を残すことができます。また、自分が大きく枝を張っている間は、いくら若木が生えても大きく成長することはないそうです。母木が枯れるか、台風などで倒れ地面に光が当たるようになると競争を勝ち抜いた若木が成長します。約300年と言われる寿命から考えれば数年に一度実を着ければいいというブナの生き残り戦略です。
 熊は初夏に交尾をしますが、すぐには妊娠しません。秋にブナなどの実を食べて脂肪が十分にたまると子宮に着床して妊娠します。冬眠期間中に出産しますが、栄養不足だと子だけでなく自分の命も危うくなるからです。これが熊の生き残り戦略です。
 自然界では、山の稔りが野生動物の個体数を調節していましたが、その機能が失われつつあります。人間のごみが餌になり、収穫されない柿などが熊の胃を満たし、毎年たっぷりと栄養を蓄えることができます。子熊は2年から3年、母熊と暮らしますが、人に馴れると人間を恐れなくなります。奥山に帰らず、人里近いところで暮らすことも生き残り戦略です。
 最近熊の目撃情報が多く、注意が必要です。ブナ林を広げることで熊が奥山に戻ってくれればと願っています。

「猟銃」令和5年6月

 工事のため通行できなかった林道清水平線が今月2日に開通しました。カヤの平高原はちょうど竹の子(ネマガリタケ)のシーズンです。注意していただきたいのは遭難と熊です。竹の子は地際に生えているためどうしても周囲の景色を見失いがちで遭難してしまうことがあります。また、竹の子は熊の好物でもあり、遭遇しがちです。あらかじめ熊よけの準備をし、周囲の気配に注意してください。
 里でもこの時期から秋にかけ熊が多出します。被害の多くは農作物です。人的な被害は出ていませんが、餌を求めて人家近くまで来ます。そんな時お世話になるのは有害鳥獣駆除協議会です。この協議会の主なメンバーは猟友会の皆さんです。県から駆除の許可を得て猟銃で有害鳥獣を駆除します。
 先月、近隣市で猟銃を使った悲惨な事件が起きました。そのため猟銃の所持許可はどうなっているのか、危険な人に猟銃を持たせるな。新聞などではそんな声がありました。猟友会員は、銃が危険なことは十分承知して取り扱っています。そのため定期的に講習会を行い、銃の保管から扱い方、目的外使用の厳禁に努めています。村としても安全な管理と適正な使用を求めていきます。有害鳥獣被害、特に人身被害を未然に防がなければなりません。偏見により本来の目的を果たせなくなることのないようにお願いします。
 最後に、悲惨な事件でお亡くなりになりました皆様のご冥福を心からお祈り申し上げます。

「賑わいの復活」令和5年5月

 今年のゴールデンウィークはどう過ごされましたか。3年間じっと我慢が続きましたが、今年は比較的天候にも恵まれ、全国の行楽地が賑わったようです。旅先で思い切り楽しんだという方も多いのではないでしょうか。また、久しぶりに親戚や友人と再会できた方も多いと思います。
 国内旅行はほぼコロナ前並に回復したようです。海外旅行はまだまだですが、インバウンドで外国人を見かけることが多くなりました。物価高などいろいろ課題はありますが、より多くの人が楽しむことで景気が回復することを期待しています。
 連休明けからは新型コロナの扱いが第5類となり、マスクの着用は「個人の判断」になりました。素顔で対面すれば会話も弾みます。ただ収束したわけではなく、3年間で身についた習慣をいきなり変えるには勇気がいりますが、徐々に以前の生活に戻したいものです。
 姉妹都市調布市との交流事業も縮小していましたが、今年は市内の中学生を受け入れるスキー修学旅行で2年分の2学年の生徒が訪れました。ほかの様々な交流事業も前の状況に戻りそうです。
 調布市には「調布・木島平交流クラブ」という市民の団体があり、年に数回木島平の景観や食を楽しんでいただいています。一方、調布市にも深大寺や味の素スタジアムなど数多くの見どころや花火大会などのイベントがたくさんあります。村民の皆さんにも調布市を楽しんでもらうため「調布友の会(仮称)」の会員を募集しています。調布市の皆さんと交流しながら調布市を満喫してみてはいかがですか。

お問い合わせ

木島平村役場 総務課 政策情報係
TEL:0269-82-3111