公開日 2026年5月26日
松森正彦さん

【プロフィール】
長野県松本市出身。転勤族で関東圏を中心に各地を転々とし、木島平村が14か所目。
2025年に一般社団法人木島平村観光振興局(以下、振興局。) の事務局長に就任した。
移住前はどこでどんなことをしていましたか?
神奈川県に住んでいました。
直近は、会社員から勤め上げた企業で社長をしていました。具体的には、FAX、郵送、SMSなどを使ってBtoB(企業間)の通信サービスを提供する事業を行っていました。
移住のきっかけと決め手はなんですか?

社長としての任期満了を迎えるにあたって「次は何をしようかな」と思っていた時に、たまたま木島平村のホームページで、「振興局の局長を募集する」という記事を見つけたのがきっかけです。
何でその時に木島平村のホームページを検索していたのかは不思議と思い出せないのですが。
実は、その時に別の地域でも同様の募集が出ていたのですが、木島平村に応募することを決めました。
木島平村には2018年頃に訪れたのが初めてで、それから毎年4~5回は通っていたんです。
趣味のトレイルランニングやスキーを楽しんだり、『奥信濃100』*の大会実行委員に関わったりしていたので、スポーツという切り口で木島平村を世の中に伝えていくことに意義を感じ、「楽しそう」という直感がわきました。
スポーツを通じて木島平に友人が沢山いたことも決断の決め手になりました。
*奥信濃100
木島平村の自然や古道を巡る山岳レース。コロナ禍の地元産業振興などの思いで、村出身のマルチアクティビティプレイヤー山田琢也氏を中心に2021年に初開催。有志によるトレイル整備や地域振興が評価され「ふるさとづくり大賞」総務大臣賞(2026年)などを受賞。
「地域おこし協力隊」という制度を使った移住にはこだわりがなく、自分の次のキャリアとして「観光振興局の事務局長」というシゴトに興味を惹かれた事が大きいです。
移住までのながれを教えてください。

その募集記事にしたがって応募して、面接などを経て採用が決まりました。
応募条件に「住所を移すこと」とあったので木島平村に住むことになりましたが、もともと特に「移住したい」と考えていた訳ではなく、転居の経験が多いせいか、住むところにはこだわりがありませんでした。
もちろん家族には説明をしましたが、息子はもう成人を迎えている年齢ですし、我が家はそれぞれが好きなことをするというスタイルなので、妻子からは特に反対もなく送り出してもらいました。
お引越しをされると聞きましたが、お住まいはどのように手に入れましたか?
協力隊としてはじめに紹介いただいた住居から出ることになり、家を探していたタイミングで、丁度任期を満了するタイミングだった他の協力隊員から「良い家だから」と紹介してもらって、そこへ住むことになりました。
家からの眺めがよく、新しい地区での繋がりも楽しみです。
現在はどのような暮らしをしていますか?休日の過ごし方は?

仕事以外は、ほとんどスポーツに時間を使っています。
今は単身で100%自分の為に時間が使えるので、冬はアルペンやクロスカントリースキー、夏はトレイルランニングに出かけます。
登山も、車があれば登山口まで簡単に行けるので、妙高山、黒姫山、火打山、斑尾山、村内では高社山や高標(たかっぴょう)山など、あちこち行って楽しんでいます。
地域とのつながりはどうしていますか?
業務でもよく関わりのある役場の職員に同じ地区の方がいて、その繋がりでスムーズに仲間に入れてもらいました。
今住んでいるところは、「この地区に住んでいる以上は行事に出ろ」というプレッシャーもなく、でも同じ区民として仲間に入れてくれます。
「来る者拒まず、でも無理強いもしない」という丁度良い距離感がよかったです。
木島平村に移住してよかったと感じるのはどんな時ですか?暮らして感じる魅力は?

難しい質問ですね…いいことしかない。それこそ、良さが何かと言われると答えに困るぐらいです。
「車があれば」という前提ですが、こんなに住み心地が良い所は他にありません。
新幹線駅や商業施設のある飯山市とも近く、雪もほどほどの量で、気候という点でもとにかく過ごしやすい。
扇状地形も魅力で、村の中を走っていて上り下りの変化が楽しく、ふと振り返った時の景色がすごく綺麗なんです。村の至る所に水路が流れあちこちで水音が聞こえるのもすごく心地よくて、居心地がとにかく良いなと思っています。
いて言えば、飲食店がもっと増えたら有難いです。
私が有酸素運動の魅力に惹かれたのは、ずーっとできるスポーツだからです。
例えばランニングは、衝撃の負担で体が故障しやすいという側面があります。
その点、クロスカントリースキーは老若男女ができるスポーツで、有酸素運動だから体が鍛えられるし、気持ちがいいことに加えて体にかかる衝撃の負担が軽い。1人でもできるけどみんなでやっても楽しい。
良いことばかりです。
冬、家の近くにある村の小学校では、校庭に積もった雪でクロスカントリーの授業を受けている姿を見かけます。
1人ずつスキー板と靴があって、体育の授業ではみんな競技というより楽しんで滑っていて、とても恵まれた環境だと感じます。
村の人たちは、その素晴らしいものに対して自覚がないのですが、これは本当に素晴らしい事です。
移住して驚いたことはなんですか?また、困ったことはありますか?

飲み会の時に、乾杯するまでみんな正座だったのは驚きました。正座が苦手なもので(笑)逆にそれ以外ではあまり思いつかないですね…。
移住する前は「楽しいこともあるけど、きっと大変なこと、嫌なこともあるだろう」と思っていました。自分の当たり前ができなかったり、ストレスも多かったりするだろうと覚悟していたのに、何もなかったんです。
例えばカメムシについても「沢山出るよ」と脅されましたが、たまたま今年が少なかったのか、家の中では2匹見たくらいで全然大したありませんでした。
冬に屋根から落ちた雪は自分で除雪しないといけませんが、これも体を動かすのにちょうど良いくらいで、全然大変ではなかったです。
そもそも、「やったことない経験をする」ために来ているので、それをしない理由がありません。
先日、茅葺き屋根の雪おろしに参加して、茅葺き屋根は思ったよりも高さがありました。
初めてのことで内心は怖かったですが、それをひょいひょいと登っていく職員の皆さんの姿を見て「怖い」とは言えず、貴重な経験をさせてもらいました。
木島平村の環境について感じることは?
本当に、与えられた環境が良すぎる。自然の奇跡に恵まれている村だと感じます。
そのことを、村民自身はあまり気づいていなくて、それでもみんな幸せそうなんです。現状に不満がないというか、だから外から来る人間に対しても寛容なのかも知れません。
これは個人的な仮説ですが、お米を作っているから食べ物への不安が少なくて、気候条件に恵まれている安心感が潜在意識の土台にあるから、心の余裕に繋がっているのかなと。
お気に入りの場所や好きな地域食について。
お気に入りの場所は、家です。家から見える景色や、星空が本当に綺麗です。次の引っ越し先はますます景色が綺麗なところなのでそれも楽しみです。他は、クロスカントリースキー場も好きですね。
私自身はあまり食にこだわりがないのですが、やはり木島平のお米はとてもおいしいです。
知人が訪ねてきた時などに村内や近隣の飲食店へ案内すると、どのメニューも美味しくて量があって、でも都内の半分の値段じゃないかというぐらい安いので、食事に満足して、お会計でも思ったより安くい、と良いことばかりです。
1人の時、村内で飲んだ後は歩いて帰っています。少し距離があるのですが、体を動かすことが好きなので苦になりません。
今後やってみたいこと、取り組んでいることはありますか?

ランニングだけでなく、スキー、自転車なども含めて、有酸素運動でもっと村を盛り上げていきたいです。
耐久系スポーツにも注目していて、「バックヤードウルトラ」*というレースの誘致が最近叶いました。きっかけは、過去に自分がその大会に出場した経験からでした。村でトレイルランニングの大会など主催している方からのご縁で大会主催者と繋がることができて、早くも実現することになりました。
日頃から村内を走りながら「いつか誘致したい」と考えて構想をしていたおかげで、話をいただいてからすぐに具体化に向けて話が進められました。
*バックヤードウルトラ:6.706キロメートルのコース(1ヤード)を1時間以内に走ることを繰り返し、最後の1人が1時間以内にコースを走破するまで昼夜通して行われるウルトラマラソンの形態の一つ。木島平では村民が見送る中役場の中庭をスタートし、記録は77時間(3日と5時間)となった。
移住を検討されている方にひとこと!
車さえあれば、いわゆる「田舎暮らし」に伴う不便さは全くないです。その心配はありません。
4つの塚や貴重な史跡があるのも、古代から恵まれた地域であったからこそ、連綿と営みが続いてきたんじゃないかと思います。そのくらい、何でこんなに良い条件が揃っているのかという好条件が揃った地域です。
いいとこ取りのこの地域にぜひ移住して欲しいと思います。